曖昧な空気感
これから東村へ向います。
今朝のような
湿気を伴う柔らかくて優しい
空気感に包まれると
自分自身の持っている焦燥感が
哀れに見えてきたりする。
…ほんの一瞬だけど。
写真は
鹿児島県指宿市岩本港
以前私が乗っていた船から
堤防に向けて撮影した。
私にとっては
思い出深い母港
この港から
沖へ出ずに陸にあがって5年が過ぎた。
なぜこんな気持ちになるのか分からないが
ここに忘れたものがあるはずだと
確信するようになった。
その当時
ある期間の漁が終わり
船が入港したあと
帰り道に
よく会う知人がいた。
先日
その知人と電話で話す機会があった。
電話での会話なので
空気感まで伝わるはずはないのだが
電話口からは
思い立ったあの時あの場所の
湿気を伴う柔らかくて優しい
空気感が漂っていた。
曖昧な景色が見え隠れする。
忘れ物は確かにそこにある。
立ち上がった時の記憶。
歩み始めた時の記憶。
初めて見る世界を感じたころの記憶。
新緑の東村に
その記憶に近いものが
あるだろうか。
曖昧に感じる景色から
現実の景色に戻るまでには
少し時間が必要かもしれない。